こんにちは。
その中の一節に「よき名得まほしと思ふが故に,人のあしきにてわがこころをなだめ,人のよきをばねたむ」とあります。
「よい評判を得たいと思うから,人の悪いところを見つけて自分の心を安心させ,他人の良いところをいまいましく思う」くらいの現代語訳になるでしょうか。
悪いところを見つけたときには,自分の悪い点であれば,もっと悪い奴はたくさんいるからと反省せず,しかし他人の悪い点はことさらに非難します。
良いところを見つけたときには,他人に対して,もっと立派な成人君主はたくさんいるのだから,大したことではないとほめません。
そのような態度を戒めている内容でした。
しかし,現実にはそんな人ばかりのような気がします。
うまくいったことは自分の手柄,失敗したことは部下の責任,自分が一番偉いのだと,勘違いしている上司に何度か出会ってきました。
そんな人には出会った経験がありませんとおっしゃる方がいるとすれば,本当に稀な幸運な方ではなかろうかと思います。
部下の成功も認めませんので(つまりは自分の手柄だから),部下をほめるようなこともまずありません。
明らかに上司が悪いよねと感じることでも,部下の責任にして,部下を叱責することさえあります。
さて,私も心がけてきたことですが,そんな上司を反面教師とし,起きたことはすべて自分の責任であると考えるようにしてきました。
塾であれば,教室の責任者という立場も経験してきましたので,教室内で起きたことは,たとえ自分がお休みでその場にいなかったとしても,一緒に働く仲間大失敗であったとしても,すべて自分の責任だと考えていました。
成績が伸び悩んでいる子どもたちの中には,成績をとにかく他人のせいにしたがる子がいます。先生が悪い,親が悪い,今回はたまたま運が悪かった,…という具合です。
自分の責任であると考えることができるようになると,人間的にも成長して成績が伸びるきっかけになるかもしれません。
責任と自由とは表裏一体です。あれやこれやと手取り足取り手伝っていては,いつまでも責任感は育たないかもしれません。お子様の意思,選択に思い切って任せてみることもときには必要でしょう。
では。