志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

380円の3色ボールペン

こんにちは。

教室の近くに禁煙のビアバーがあります。
禁煙の店しか行けませんので,選択肢がほとんどなく,たまに顔を出します。たまにといっても4回くらいしか行ったことがありません。

1か月くらい前でしょうか。このお店でこんなことがありました。
近くにホテルも多く,外国人のお客様も多いのですが,その日は中国人のご夫婦が来店し,私の隣に座りました。
ところが,このご夫婦,日本語はもちろんのこと,簡単な英語も話すことができません。店員さんとも意思疎通ができず,どちらもお困りでした。しかも,お店も混んでいて,店員さんも忙しそうです。

せっかく札幌までいらしていただいたのですから,楽しんでもらいたいですし,不憫に感じたこともあり,助けてあげたいと思いました。

そこで,私はカバンの中からいらない紙を取り出し,持っていたボールペンで漢字を書いて,何を頼みたいのか聞いてみました。「飲?」などと紙に書くと,同じ漢字文化圏なので伝わるものです。
「日本酒,梅酒」などと書いて,意思を伝えてくださいます。
中国の漢字は日本で使用しているものと違って,少し省略したような字なのですが,お互いに何となく読めるわけで,コミュケーションを取る分には問題はありません。

このご夫婦がいらしたとき,私は帰ろうしていて,会計をお願いしたところでした。
ご夫婦は書くものをお持ちではありませんでしたので,「あげる」というゼスチャーをしてボールペンを渡して店を後にすることにしました。

何年もの間,無印良品の「3色ボールペン・シャープペン付」というのを愛用しています。いつもスーツの裏ポケットに差しているのでいるので,それを渡したわけです。380円と,ボールペンとしては少々値が張ります。近所に無印のお店はなく,また買いに行くのが面倒だなと,少しだけ惜しい気持ちもありました。

別れ際,ご主人は非常に恐縮された様子で,紙に「謝謝」と書かれていて,ごめんなさいと謝れらてもなあ,と思っていたのですが,あとで調べてみると,「シェイシェイ」と読むことがわかりました。「ありがとう」ですね。

先日,この店に行ったところ,若い女性の店員さんが私のことを覚えていて,このときのボールペンを返してくださいました。

380円とラベルにも書いてあり,高いものではないとわかるわけです。
また,私も頻繁に来るわけではありません。次,いつ来るかもわからないですし,そもそも来ない可能性もあります。何度も来ているわけではないですし,店員さんと話すこともなく,静かに本を読んでいるような客なので,顔も覚えられていないはずです。
そんな状況の中,「もしかして…」と声をかけてくださり,ボールペンが戻ってきたのでした。
もしかしたら大学生かもしれません。それくらいの若い方です。こうした気遣いができるのはすばらしいことだと,うれしい気持ちになりました。

ものすごくおいしいかといわれると,そこまでではないのですが,このお店には,もう少し頻繁に顔を出してみようかなと思います。どんな商売でも,一番大切なのは人と人とのつながり,気持ちの部分ですね。

では。